アフリカの貴公子
かなりの間、ピアノ教室の記事更新を怠っていました。楽しい事、意外な事、忙しい事、色々な事が在って、時間が過ぎてしまいました。楽しい意外な事の第一番は、様々な国の生徒さんをお教えする機会が与えられている事。一人目はアフリカ人の生徒さん。以前にもアフリカの生徒さん教えた事がありますが、こんなに真面目で音楽の好きな方は初めてで大変感激しました。15歳のジョサイア君はナイジェリア大使の次男坊で、ご両親の在日期間に日本の学校で一年ほど勉強し、私と会った時はあと1ケ月でナイジェリアに帰国するという時でした。どのようにして彼と出会ったかというと、教会でです。その日は私は一番後ろの席に座っていて、やはり遅れて来たジョサイア君とご家族はご両親だけ前列に座り、ジョサイア君は一人で最後列、私の隣に座りました。教会では隣の人たち、周りの人たちへ挨拶する時間があります。名前と出身を訪ねた後、私が数回教えたことのあるナイジェリアの子の話をすると、ジョサイア君はピアノ教えているんですか?僕の家にはピアノがあって、僕はずっとずっとピアノが習いたかったんです。後で両親に話すから、教えてもらえますか?と言うんです。色眼鏡で見てはいけないのですが、すみません、アフリカの方達の価値観は日本人の生真面目さと少し異なる事が多いので、それほど真剣に取っていなかったのですが、その後、すぐにご両親に紹介され、彼もご両親も帰国と引越し間近であったにも関わらず、間を縫って時には1週間に2回、合計6回のレッスンにいらっしゃいました。
何ができて何を知らないのかが良くわからなかったので初めは恐る恐る、15歳、プライドもあるし、楽譜の読み方、ピアノの手の使い方、音階の指使いなどを教えましたが、まず、とにかく体も手も大きいので、今までの私の設定演奏理論には当てはまらない。彼も中々ピアノのキーに手が収まらず、体も余ってしまって、工夫するうちに緊張して硬くなり、背中が痛くなってしまったり、しかし、さすがスポーツが得意なジョサイア君、自分のポジジョンを探しあてたら、手の使い方はずっと楽にできるようになりました。
譜読みは、ある程度、日本で行っていた学校で習ったので、DO RE MI で歌えます。
さて、何を学んだかと言うと、Beethovenの月光ソナタの冒頭の部分です。2段の五線譜に指使い、全て書いてあげて、6回目のレッスンには両手で弾けるようになりました!YEH!
ジョサイア君はまるでアフリカの王子様のような素敵な若い紳士で、6回目ぐらいからやっと自分の本当にしたいことを言えるようになり、おそるおそる、僕はトルコ行進曲が大好きなんだけれど 弾いてくれる?と 聞かれ、弾いてあげたら、とっても喜んで曲が終わったらニコニコして High FIVE! こう言う素直で自然な感情表現が 私は大好き!
なんと6回目のレッスンの時にBEETHOVENが合格して、レッスンをほとんど終わろうとした時にトルコ行進曲は僕には難し過ぎますか?って突然言うんです。うむ~~。でも国に帰る前に教えてあげたい!それで突如 はじめました!初めの32小節だけですが、そして、左は簡略化したバージョン。日曜日にはナイジェリアに帰ると言うのに水曜日に最後のレッスンに来て、おお、頑張りました。弾けるようになったんです!私もとても嬉しかった・
もっと早く習いたかったなあ~~、、と
そして やっとピアノの楽しさが分かったと、
ジョサイア君は言いました。僕はスポーツも大好きだけれど、クラッシック音楽が大好きなんだ。勉強する時はいつもモーツアルトやBeethovenを聞くんだ。僕のママは弁護士でお姉ちゃんも弁護士、お父さんは外交官でお兄さんは子供の時から医者になりたいと決めていて、今年から医大にゆく。僕はママやお姉ちゃんの様に人前に出て喋るのは好きじゃなくて、静かなのが好きなんだ。でもまだ何になりたいかわからないんだよ、、って
ジョサイア君のお父さんは翌々週教会でお別れの挨拶の代わりに賛美歌を歌われました。とてもお上手でした。やはり血を引いているのでしょうね。
ジョサイア君、とっても素敵な男性に成長するだろうな!と 生き生きと想像できます。クラッシック音楽の好きな人というのは何か違う心の一部を備えていると思う。特にそれを備えた男性は優しさを持った人なんじゃないかな?と。私の教室にはなぜか男の子のお弟子さんが多い。ジョサイア君の成長楽しみ!